測定機器管理規程
- SOKADA
- 2022年11月9日
- 読了時間: 8分
更新日:1月24日

社長から、「ノギスやマイクロメーターの管理手順書を作成してくれ」なんて言われ困っていませんか?
今回は、これから測定機器の校正や、管理を進めて行きたい会社のために「測定機器管理規程」と「測定機器校正管理標準」のテンプレートを用意しましたので参考にしていただけたら幸せです。
まずは、測定機器管理規程の一例になります。
比較的小規模な会社を想定しています。
ISO9001等に準拠させるためには加筆修正が必要な場合がありますので、ご注意ください。
測定機器管理規程
1.目的
本規程は、製品が定められた要求事項を満足することを検証するため、製品の特性を測定する機器を管理する基準、手順を定め適切に管理することを目的とする。
2.適用範囲
本規程は、当社で行う受入検査、工程内検査、最終検査、その他の必要な検査において使用される測定機器に適用する。
3.用語の定義
(1)この規定中の「測定機器」とは、株式会社〇〇製作所において、検査業務で使用する全ての測定機器、及び測定機器の精度を維持するための基準器や治工具のことを指す。
(2)この規定中の「検査」とは、原則として、検査対象品を直接または間接測定して得たデータを判断基準と照合確認することにより対象品が要求事項に適合しているか否かを判断する作業を指す。
4.管理
受け入れ検査、工程内検査、最終検査、その他の必要な検査で測定値の妥当性が保証されなければならない場合には、測定機器について以下の管理を行う。
(1)測定機器は用途に適した状態を維持するために必要な日常点検、定期点検を行い、記録を保存すること。
(2)品質管理責任者はすべての測定機器の総合的な管理をすること。また各測定機器の管理担当者を定め、担当者は測定機器を適切に管理すること。
(3)品質管理責任者は全ての測定機器に管理番号を付与し、校正するべきものと校正除外品とを明確に分けて管理しなければならない。全ての測定機器を管理台帳等を使用して適切に管理しなければならない。
(4)測定機器は、定められた間隔により、国家計量標準にトレーサブルな計量標準に照らした校正をしなければならない。また、廃棄する場合も校正を行い測定結果の正当性、妥当性を評価すること。
(5)品質管理責任者は校正の状態を明確にするため、校正証明書や検査成績書、トレーサビリティ体系図の保存と共に次回校正日(校正期限)を管理すること。
(6)品質管理責任者は測定機器の使用場所、保管場所、貸借状態を管理すること。各測定機器の担当者や使用者は取り扱い保守および保管に際し、損傷および劣化等のないように保護すること。
(7)校正時、点検時または使用時に測定機器に異常や不適合と判断された場合には、品質管理責任者に報告し、校正に準じた検査をすること。品質管理責任者の判断により外部機関へ修理、点検を委託すること。
(8)測定機器が要求事項に適合していないことが判明した場合には、その測定機器でそれまでに測定した結果の妥当性を評価し、記録すること。
(9)測定機器が要求事項に適合していないことが判明した機器、及び影響を受けた製品に対して、適切な処置をとること。校正及び検証の結果の記録を維持すること。また、品質管理責任者は経営責任者へ報告をしなければならない。
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→測定機器管理台帳の作成や維持管理
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次に、測定機器校正管理標準の雛形の一例になります。管理規程には書いていない校正期間等のルールを具体的に記述します。
使用頻度の高い測定機器は原則半年から1年、ほとんど使用しない測定機器は2年から3年で構わないと思います。それぞれの会社で決定してください。
ノギスのみ社内校正できる仕様になっています。
工程内検査用ノギスだけ社内校正を可能としたり、品質管理責任者を専務や工場長に変更するなどして会社の実状に合わせて追記や修正をしてください。
測定機器校正管理標準
1.目的
本標準は「測定機器管理規程」に基づき測定機器の校正管理に関わる標準を明確にすることを目的とする。
2.適用範囲
本標準は、当社で行う受入検査、工程内検査、最終検査、その他の必要な検査において使用される測定機器に適用する。
3.登録、管理、記録
(1)新規導入においては、管理台帳に管理番号を登録し、ただちに現品に管理番号を貼付する。
(2)測定機器の登録、管理、校正は品質管理責任者、または品質管理責任者が任命した者が行う。社内校正の実施と、校正の合否判定については、力量のある者を任命しなければならない。
(3)校正や点検の結果、校正期限、および修理、廃棄などの記録を管理台帳に保存すること。
4.点検
(1)日常的に使用する測定機器は、日常点検をすること。
(2)使用頻度の少ない測定機器は、使用前点検をすること。
(3)測定機器は、精度の確認を伴う定期点検を行わなければならない。頻度は年に一度以上行うこととする。但し、校正後に校正結果や検査成績を踏まえた合否判定を行うことで、その測定機器の定期点検としてもよい。
5.校正
(1)測定機器の定期校正は原則1年毎とする。外部校正を行った場合には、「一般校正証明書」「検査成績書」「トレーサビリティ体系図」の3点、または「JCSS校正証明書」「検査成績書」の2点を取得、保管すること。
(2) 三次元測定器などの据え置き型の測定機器については、〇年毎に外部に校正を依頼すること。
(3)測定機器を廃棄する場合には、校正を行い測定結果の正当性、妥当性を評価してから廃棄処理をすること。
(4)600mm以下のノギスに限り社内で校正を行っても良い。その場合には、外部で校正を行ったキャリパチェッカー等を基準器として使用しなければならない。
(5) 社内で使用する基準器は〇年毎に外部機関で校正を行うこと。
(6) 社内で校正する場合には、適切な測定室(20℃±1℃ 湿度50~60%±5%)で行うこと。基準器、ノギスがともに適切な温度になっていることを確認しなければならない。但し、用意できない場合は常温(温度5℃~35℃)環境下で行ってもよい。
(7) 校正除外品の測定機器についても、原則1年毎に校正に準じた検査を行うこと。出来ない場合は、可能な限りJIS1級品を使用し適切な耐用年数の範囲内で使用すること。
6.校正期限の起算日
測定機器の次回校正日(校正期限)の起算日は、校正検査を行った日とする。ただし、校正期限が満了する日の1ケ月前から当該期間が満了する日までの間に継続検査を行い、測定器管理台帳に校正期限を記入する場合は、当該測定器の校正期限が満了する日とする。
7.合否判定
検査成績の合否判定は別途資料「測定器合否判定基準」に従う。
8.耐用年数
各測定機器の実用耐用年数は下記のとおりとし、耐用年数を過ぎた測定機器は廃棄する。但し、やむを得ず耐用年数を過ぎて使用する場合は、上記(5.校正)で示された半分の周期で校正を行うこと。(※法定耐用年数ではありません。)
ノギス : 7年
マイクロメーター : 7年
ホールテスト : 7年
デプスゲージ : 7年
キャリパチェッカー : 10年
ブロックゲージ : 10年
三次元測定機 : 7年
画像検査機 : 7年
9.廃棄
老朽、狂い、損傷などによる測定器類の廃棄、検査使用不可等は、品質管理責任者が判断し決定する。
※校正期限について補足します。
校正期限の継続検査の場合の記入例 (1年毎の場合)
校正期限が2020年5月21日の場合は2020年4月22日から5月21日の間に校正を行い、管理台帳に校正期限2021年5月21日と記入する。
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資料
測定器合否判定基準(社内基準の例)
1. 外側マイクロメータの最小メモリ1/1000㎜単位表示のもの
測定範囲 mm | 最大許容誤差 |
75以下 | ±2μm |
75を超え150以下 | ±3μm |
150を超え225以下 | ±4μm |
2. ノギス1/100㎜単位表示のもの
測定範囲mm | 最大許容誤差 |
50以下 | ±20μm |
50を超え200以下 | ±20μm |
200を超え300以下 | ±30μm |
300を超え400以下 | ±40μm |
400を超え600以下 | ±50μm |
600を超え1000以下 | ±60μm |
3. ノギス1/20㎜単位表示のもの(バーニヤ式)
測定範囲 mm | 最大許容誤差 |
300以下 | ±50μm |
300を超え600以下 | ±90μm |
600を超え1000以下 | ±120μm |
例:1/100㎜単位表示のデジタルノギスで100㎜の測定をした場合、±0.03㎜の誤差で不適合となる。
(JISの規格内であるが、社内基準で不適合)
※参考:マイクロメータの全測定面接触誤差の最大許容誤差JMPE(JIS B 7502)

※参考:ノギスの部分測定面接触による指示値の最大許容誤差EMPE(JIS B 7507)

JIS規格や合否判定基準について、こちらの記事も参考にしてください。
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※参考:校正とは
「標準器を用いて測定工具の表す値と、その真の値との関係を求める作業」と定義されています。合否判定は伴わず、校正した測定工具が仕様可能かは、その測定工具の所有者自身が行うこととなります。
※参考:校正とトレーサビリティ
測定工具は標準器によって校正されます。その標準器は、より正確な(不確かさがより小さい)標準器によって校正されます。この標準器もより正確な標準器によって校正される、というように、より正確な標準器を求めていくと国家計量標準にたどり着きます。
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